会長就任挨拶 鹿島建設株式会社 奈須野 恭伸

内藤前会長を引継ぎ、4月より新会長を拝命いたしました奈須野でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
さて、昨年4月より罰則が科される「働き方改革」関連法が、建設業にも適用されてから1年が経過しました。ダム建設現場にも大きな影響があり、さまざまな問題点が出てまいりました。アンケートを取ると、法に対して計画が追いついておらず、積算や工程などが現実と乖離しているといった意見が寄せられました。現場を統率する立場にあるCMED資格者として、これらの多くの課題を皆で解決に向けて取り組む重責を担っています。常任幹事会でも、会員の声をしっかりと聞きながら、関係機関との意見交換を進めて参ります。また、新たな視点での「働き方改革に向けた取り組み」として、国土交通省が掲げるi-construction2.0への対応も必要です。東京大学の石田教授が第38回総会で「箱庭戦略」と講演されていましたが、CMED資格者のDNAにはそれが深く浸透しており、ダム現場では様々な新たな試みを行い、技術を実証し他工種に展開してきました。次世代に向けて、自動化施工を中心とした本当の意味で生産性向上につながる技術に挑戦して行きましょう。
今年度の活動方針ですが、昨年度の意見交換では確実な方向性が定まらなかった「働き方改革と担い手確保」「生産性向上」「技術の伝承」の3テーマを柱として取り組んでいきたいと思います。担い手確保については、CMED会も同様で、現在70歳以下の会員のうち監理技術者に成り得ると考える55歳以下の会員が約30%です。人数で見ると、5年後には現在の2/3にまで減ってしまいます。何とか技術の伝承のためにもCMED会でダム現場に従事する若手を増やしていかなければいけません。これは喫緊の課題でもあり会としてもバックアップしていきたいと考えています。
その他に、今後増加が予想されるダムの再生事業についても、現在ダム技術センターと作成を進めている再開発の教科書をCMED会の方から発信し、何が再開発の施工の問題点なのか、肝になるものは何かを、発注者、設計者、施工者が共通認識を持ち、効果の高い事業として推進できる方策を検討していきたいと考えています。
今年度も「ダム建設向上部会」を中心に国土交通省、水資源機構、ダム技術センター、建設コンサルタンツ協会との意見交換を充実させ、それぞれの立場を超えた議論を進めてまいります。また、「CMED活躍推進検討部会」では、CMED会員の地位や知名度の向上のため、発注機関や大学を含めた技術者の育成支援や広報活動にも取り組んで参ります。
CMED資格者は、ダム工事を通じて社会に大きな貢献をしているとの自負と責任を感じながら日々精進してく必要があります。この思いを新たに誓い、皆様と共に進んで参りたいと思います。皆様のご支援ご協力をよろしくお願い申し上げます。
ダム工事総括管理技術者会 会長 奈須野 恭伸